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特別企画 「egg豊中ができるまで」

1957年に建築され、53年間3世代の家族が住んでいたこの家は、約20年ごとに大きなリフォームをしながら2010年にその役割を一旦終えて5年間眠っていました。

2015年春にこの家の活用を考えてほしいとの依頼を受けて家主様と打ち合わせを重ね、シェアハウスとしてよみがえらせることになりました。そしてその年の9月、まずは不用品の廃棄と解体に着手しました。

不用品の他にお風呂や洗面、トイレそして壁やドアも解体し、その量はトラック7台分にもなりました。その結果広々とした空間が現れました。

さー、リフォームスタート!まずは断熱工事。壁、床、屋根裏にそれぞれ断熱材を充填。壁は土壁、床や天井には一切断熱がなく、当時の造りらしく外気がどしどし入って湿気から柱、梁を守る造りになっています。その反面、床や天井は真冬はダイレクトに外の冷気に包まれていました。でもこれで保温効果のある建物になりました!

そして新たな間仕切りを造作していきます。広々とした空間が仕切られてしまうのは、少しもったいないですが、昔の日本家屋特有の田の字の部屋割りでは個室になりません(汗)廊下を作りそれぞれの部屋へのルートを確保。そして柱を補強したり金物を入れたり壁を作ることで耐震性能も向上させました。

次はフローリング。ほとんどの部屋は畳でしたので床下地を組んだらフローリングを貼ります。これには現場実習をかねてポリテク兵庫住宅リフォーム科の生徒さんたちにも手伝ってもらいました。

次は壁仕上げ。今回は建物に合わせて漆喰塗りを多く取り入れました。

これもポリテクの生徒さんが大活躍。みんな楽しく真剣に取り組んでくれました。漆喰壁のいいところは多少乱暴に塗っても、それがそれなりの味になって見えるところ(笑)

塗装工事。木は経年劣化しても塗装でよみがえります。本当に素晴らしい素材。古くても古いなりの味わいを出してくれますね。広縁の天井と柱、梁はすべてシックなこげ茶に塗装。う~ん。クッと締まって落ち着いた雰囲気になった!

階段はかなり色あせた感じでモヤッとしてました。玄関の寄付き(小縁)には無垢の大きく立派な一枚板ですがこれもまた痛みが激しくて・・・。でもサンダーで削って表面を整え、ウォルナットのクリアで塗装すると綺麗な木目がハッキリと浮かび、歴史と味わいが感じられるようになりました。これもひとえに元々の素材が良いからこそですねー。

トイレ・ユニットバス・洗面台もそれぞれ新たに入れ替えました。浴室は断熱効果を高めるために窓無しに。洗面も洗濯機も7人入居に備え2個ずつ設置。給湯器も入れ替えて設備工事完了。 

仕上げの前に気になる外回りも少し手を入れました。庭木をバッサバッサと剪定して雑草を抜いて、飛び石を敷きなおして、、、。更に外側の木部も塗装し、壁の漆喰も塗りなおしました。濡れ縁も作りたいけど、それはOPENしてからボチボチやることに。

もう使わなくなり廃棄される予定だった箪笥を磨いて塗装して、インテリアとしてリメイク。格子のテレビ台は掃き出し窓の上についていた欄間を活用しました。

中でも特にリビングテーブルにしたこの箱は「長持ち」といって昔、嫁入り道具をこの中に入れるためにつかわれていたもの。なんとオーナー様のお母様のおばあさまの嫁入りの時の物。江戸時代つまり100年以上のもので、アンティーク感ハンパない逸品。

これは以前に蔵を見せていただいたときに一目ぼれしたもので、お願いして頂きました。この家の真ん中で存在感を発揮してくれています。

 

下の写真は101号室の縁側から望む庭の様子。他の部屋もアンティーク感を残しつつ、全室エアコンとベッド、机、それに大型の収納を完備しました。